教育や総合的な学習の時間として
ニホンミツバチの可能性を考える[4]

〔4〕世話の仕方
 基本的にはかまわずにそのまま置いておけばいいのですが採蜜後と越冬させるための手助けは必要に思います。
                                                                                    −越冬−
 松本市奈川(旧奈川村)の厳寒でも自然巣は生きています。飼育している巣については少し工夫して、万全を期します。10月に採蜜をした巣はなおさらです。それは巣箱の中に、餌として砂糖水を入れます。容器の中に蜂が入っても溺れないように、枯れ草や藁などを敷き、そこに1:1の割合でお湯で溶かした砂糖水を与えます。その量は巣の大きさや時期にもよるようです。こうすると蜜源がなくなる秋から冬でも蜜を集めることと同じようになり、これが冬越しに必要な食料となり、越冬できるハチの数も増えるようです。この時、巣箱を覗くと驚くことに数珠のようにつながっている働きバチと、それを足場にして砂糖水を巣棚へ運んでいる働きバチがいるのが観察できます。(左の画像参照)
 働きバチの寿命は1カ月ぐらいといわれていますが、越冬用の働きバチは5カ月ぐらいです。その間、女王バチを守るようにしてお互いに体を重ね合わせ、羽を動かす筋肉を震わせることにより発熱させ、巣の中心部は30度、外側でも15度程度の温度を維持することができるようです。ですから、ハチの数が多ければ多いほど越冬する可能性は高くなります。もちろんそのエネルギーの元である貯蜜量も大きく影響します。また、巣箱は古い毛布やダンボールで囲う程度でよいです。また、巣穴はハチ一匹が通れるくらいの穴にしてあげることもコツのようです。といってもかなりの働きバチが死んでしまうので、時にはその死骸や巣のカスを掃除してやることが大切です。
                  −巣箱−
 巣箱については、松本市奈川(旧奈川村)でもいろいろな説があるようです。基本的には厚手の板で古材を使うこと、できれば野ざらしになっていたようなものがいいようです。大きさは縦・横40p、高さ60pぐらいでしょうか。中に十文字に支え棒を4本程入れて置きます。底板は巣内の掃除が出来るようにスライドさせれば取れるようにします。また、上の蓋板は釘付けせず、ガムテープ等で止め、その上にはポリトタン板などで雨よけをし、重石を置きます。巣穴は縦5o、横10pくらいの四角の穴になるよう横板に開けます。その横板は簡単に取り外せるようにすると巣内の観察をする時は便利です。旧奈川村では重箱を重ねたように作る人、丸太をくり抜いて作る人などさまざまです。また、セイヨウミツバチとは違い、巣の枠にきちんと巣を作ることがないので採蜜の時手間がかからないようにしたり、ハチを殺さずに採蜜できるようにするなどにいろいろな工夫があるようです。また、捕獲してもその巣箱が気に入らないと逃亡します。捕獲したなら、1週間くらいは砂糖水を与えて落ち着くのを待つというのがコツのようです。


ひとつ前のページへ次のページへもくじへ

トップページ(もくじ)へ

ニホンミツバチとセイヨウミツバチ   
環境教育や総合的な学習の時間としてニホンミツバチの可能性を考える
旧奈川村のニホンミツバチ  [1]分布    [2]分蜂と捕獲    [3]危険性    [4]世話の仕方    [5]まとめ