教育や総合的な学習の時間として
ニホンミツバチの可能性を考える[1]

〔1〕分布
 ニホンミツバチは日本列島に生息するトウヨウミツバチの一亜種です。九州から本州の下北半島まで分布が確認され、沖縄と北海道からは生息が報告されていないようです。明治以来、セイヨウミツバチは養蜂に適しており(蜜量も多く、逃亡するようなことは少ない)広く利用され、日本列島の隅々で飼われるようになりました。そのため、ニホンミツバチはかろうじて山間地でその飼育が残るだけという状態になり、自然群も山間地にだけ見られるようになってしまいました。
 ニホンミツバチの飼育は分蜂した群を簡単な箱に取り込み、放置しておくというほとんど自然に任せたものです。それらの群から分蜂した群が自然に帰り、また野生の群を取り込むということでニホンミツバチはヒトの生活と共生して生きてきたといえます。自然の森に生える草木の花の蜜を得て、その種を保持してきたのでしょう。ニホンミツバチのことを山ミツバチと呼ぶいわれだと思います。
 ところが、どうしたことかニホンミツバチが意外にたくさん見られるようになりました。旅先などで常に関心を持って戸外を歩くのですが、セイヨウミツバチに混じり、ニホンミツバチの飛び交う姿を見かけます。数年前、安曇野市の小学校の校庭の桜に分蜂群が取りつき、駆除依頼もありました。また、私の住む小岩嶽でも、杉の大木と栗の木のうろに自然巣があり、現在も元気に活動しています。[こんなところにも]
 なぜニホンミツバチが多くみられるようになったのでしょう。考えられることは日本の養蜂業の衰退です。農業の他の分野と同様に、今日本には外国から安いハチミツが大量に輸入されています。そのためセイヨウミツバチの飼育が減少しています。おかげで競争相手であるニホンミツバチが分布を広げてきたのではないでしょうか。また、ミツバチの天敵とされるスズメバチがいても、撃退する知恵があったり、巣が気に入らなければ群全体で逃亡し、別の巣で生活したりと、まさにこの自然の中をしぶとく生きていけるだけの本能がニホンミツバチにはあるからだと考えます。また、当地の最大の原因は、ヘリコプターによる空中散布が行われなくなり、害虫を含め、昆虫たちの安全性が増したためと考えます。


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ニホンミツバチとセイヨウミツバチ   
環境教育や総合的な学習の時間としてニホンミツバチの可能性を考える
旧奈川村のニホンミツバチ  [1]分布    [2]分蜂と捕獲    [3]危険性    [4]世話の仕方    [5]まとめ